画家
森 狙仙(もり そせん)
略歴
1749年―1821年
江戸時代後期の日本画家。
名は守象、字は叔牙。号は初め祖仙、後に狙仙と改める。他に如寒斎、霊名庵。
狩野派を学んだが円山派を加味した写生的様式の画風を追求。
動物画を得意とした。
森派の祖となる。
サイズ
総丈 縦179cm 横44cm
画寸 縦94.5cm 横34.5cm
状態
裂と本紙に経年による折れが少しあります。
解説
動物画を得意とした狙仙。猿を描いた作品を数多く遺していますが、鹿の画も秀逸なものが少なくありません。
この作品もその一つ。視線をこちらに向けたまま、何か小動物か小鳥か、または風に揺れる木々の微かな物音に反応して片耳が動いた一瞬を捉えたもの。
立派な角、柔らかそうな毛並み、鋭角な蹄の軟鋼の見事な描き分け。上方に配置した鮮やかな紅葉の朱や黄色の色分けと薄霧に消えていくように淡く描くことで奥行き感も表しています。
これほど対象の動物を大きく描いた作品は珍しく、ふわっとした毛並みは思わず触ってみたくなるほどです。
秋の静謐な朝もやの中で一頭の鹿との静かな対話が感じられる作品です。